Zabbixの監視方式である「パッシブチェック(Passive check)」と「アクティブチェック(Active check)」は、データの集め方(通信の向き)が真逆になります。
この仕組みの違いを理解すると、ファイアウォールの設定ミスや「データが取れない」といったトラブルを劇的に減らすことができます。それぞれの違いと、実戦的なアクティブチェックの設定手順を解説します。
1. パッシブとアクティブの違い(仕組みの比較)
一言でいうと、「サーバーから見に行く(パッシブ)」か、「エージェントから送りつける(アクティブ)」かの違いです。
Plaintext
【パッシブチェック(受動的)】
Zabbixサーバー ──(「データ頂戴」10050/tcp)──> 監視対象(Agent)
Zabbixサーバー <──(「はい、どうぞ」)──────── 監視対象(Agent)
【アクティブチェック(能動的)】
監視対象(Agent) ──(「監視ルール頂戴」10051/tcp)──> Zabbixサーバー
監視対象(Agent) <──(「これをお願い」)──────────── Zabbixサーバー
※以降、Agentが自発的にデータを計測し、10051/tcp でサーバーに送り続ける
メリット・デメリット比較表
| 項目 | パッシブチェック(デフォルト) | アクティブチェック |
| 通信の起点 | Zabbixサーバー → エージェント | エージェント → Zabbixサーバー |
| 使用ポート | 10050/tcp(監視対象側で開放) | 10051/tcp(サーバー側で開放) |
| サーバー負荷 | 高い(毎回サーバーから接続しに行く) | 低い(データを受け取るだけ) |
| ネットワーク制限 | 監視対象がプライベート環境だと不可 | LAN内から外のVPSを監視する際などに最適 |
| 主な用途 | 基本的な監視(死活監視、リソース) | 大規模環境、ログ監視、動的環境 |
💡 ログ監視(/var/log/messagesなど)の注意点
ログ監視やイベントログ監視は、リアルタイムに発生したデータを検知して送りつける必要があるため、「アクティブチェック」でしか動作しません。
2. アクティブチェックの設定の仕方
Linuxサーバー(監視対象)にインストールされた Zabbix Agent を設定し、アクティブチェックを有効にする手順です。
ステップ①:監視対象サーバー側の設定(agentd.conf)
設定ファイルを編集して、エージェントが「自分からサーバーにデータを送りに行く」ように書き換えます。
Bash
sudo nano /etc/zabbix/zabbix_agentd.conf
以下の項目を修正・確認します。
Plaintext
# 1. アクティブチェックの送信先(ZabbixサーバーのIPを指定)
ServerActive=【ZabbixサーバーのIPアドレス】
# 2. パッシブを完全に無効化する場合は「0」にする(任意)
# 無効化すると監視対象側の10050ポート開放が不要になります
Server=0.0.0.0
# 3. 【最重要】Zabbix管理画面に登録する「ホスト名」と完全に一致させる
Hostname=BONO_WebServer
設定が終わったら、エージェントを再起動します。
Bash
sudo systemctl restart zabbix-agent
ステップ②:ネットワーク(ネットワーク・FW)の調整
アクティブチェックでは通信の向きが変わるため、以下の解放ルールが必要です。
- 監視対象(Agent)側: 外部の10051ポートへ向けた「戻りの通信(Outbound)」が許可されていればOK(通常はデフォルトで通ります)。
- Zabbixサーバー側: 監視対象からのアクセスを受け付けるため、10051/tcp(Inbound) をファイアウォール(ufwやクラウドのセキュリティグループ)で必ず開放してください。
ステップ③:Zabbix管理画面(Web UI)での設定
ホストの登録、またはテンプレートの適用方法を変更します。
- 「データ収集」>「ホスト」 から、対象のホストの設定画面を開きます。
- 「テンプレート」タブ を開きます。
- 通常の
Linux by Zabbix agentではなく、末尾に active とついたLinux by Zabbix agent activeを選択して適用します。- ※これにより、テンプレート内のすべての監視アイテムのタイプが「Zabbixエージェント」から「Zabbixエージェント (アクティブ)」に一括変換されます。
⚠️ アクティブチェック時の「可用性(ZBXアイコン)」について
パッシブ監視の場合、サーバーから接続が成功すると管理画面の ZBX アイコンが緑色に点灯します。
しかし、完全なアクティブチェック(テンプレートがすべてactive)の場合、Zabbixサーバーからエージェントへのポーリング(定期接続)が発生しないため、ZBX アイコンは灰色(未定)のままになります。
「アイコンが緑にならない=動いていない」ではなく、「データ収集」>「最新データ」 を開き、CPUやメモリのデータが時間通りに更新されているかで動作を確認してください。データが来ていれば、正常に要塞化されたアクティブチェックが稼働しています!







